現在地

試した治療法や面白かった検査の事、聞こえの不思議や心境の変化などを順を追って書く予定だけど、その前に現在の事を書く事にする。
 
 
現在の症状は4000ヘルツ付近の音の難聴と、その補充現象としての耳鳴りと聴覚過敏。
この三つの中で演奏を困難にしているのが圧倒的に聴覚過敏で、難聴に関しては日常生活に困るレベルではないし、耳鳴りはかなり酷いけど、それで常にイライラするとか眠れないというわけではない。全然眠れる。
 
で、とにかく厄介なのが聴覚過敏だ。
食器がガチャガチャ触れる音、紙を破く音、救急車、子供の元気な声、賑やかな女性の笑い声。
そして何より、自分の声と自分の楽器の音。
 
全部しんどい。耳をつんざく音に聞こえる。
 
繰り返しになるが、4000㎐付近のみ聴力がダウンしていて、その補充現象の為、私の耳鳴りの音程も4000㎐くらいだし、耳が痛い音も一概には言えないけれど高めの音だ。
 
4000㎐が聞こえずらいのに感覚としては大きく聞こえるという不思議。
脳が無意識のうちに聞こう聞こうと頑張り過ぎているのか。
 
 
(余談だが、この騒音難聴/音響外傷性難聴の事を医学用語でc5dipというそうだ。
特徴である4000㎐付近のみの聴力の低→
4000㎐付近=c5(5番目のc)+ 低下=dipというわけ。
おおおっ、医学と音楽の融合!と、ちょっと楽しい。)
 
さて、症状が落ち着いていても音をうかうか出すとまた悪化する、の繰り返し。
それにこれ以上聴力を落とさないようにするために大切なのは、4000㎐への曝露を極力控える事。
 
なのに耳栓をどんなにぎゅうぎゅう奥まで入れて弾いても、ヴァイオリンやビオラは顎と肩で楽器を挟むから、骨伝導で何ら小さくならずに響いて聞こえてしまう。
むしろ出口を失った音が頭の中で反響してガンガンするくらいだ。
顎の下と肩の間に住宅用の防音資材を挟んだりしたが無駄だった。
脇の下に楽器を挟んで弾く人がいると聞き、自分も試したがそれだと左手が第一ポジションから移動しずらい。
この奏法を練習し続けるのはなんか、、、嫌だ。
でもこれではいつまで経ってもヴァイオリンが弾けないではないか!
 
     
それでもヴァイオリンが弾きたい。 
別にもう対外的な音楽活動ができなくてもなんでもいいけど、ただヴァイオリンが弾きたい。
練習嫌いのクセに、思ってたよりも私はヴァイオリンが好きだったみたいだ。
 
 
顎で挟むのがきついなら、と逆さにして弾いてみた。うん、これはちょっと面白い。
ならばいっそチェロならどうか?と、知り合いのミュージシャンのIさんからチェロを借りて練習してみた。
音程も低いし、音が自分より前に出ていくから良いじゃないか、と。
 
 
結果、チェロという楽器のふくよかさと音の不思議によってアウト。
一番よく聞こえる音は確かに低いけど、含まれた豊かな倍音が、音のうま味が、ふくよかで艶やかな響きが、、、、ビリビリ脳に刺さる。
 
 
そんな中、演奏仲間のコントラバス奏者のIさんから、ヴィオラダ・ガンバというキーワードをもらった。
 
 
そうか、ヴィオラ・ダ・ガンバ、その手があったか!
 
 
 
長くなったので次回に続きます。