ガンバ

前回の続きでヴィオラ・ダ・ガンバについて書きます。
 
 
結論から言うと、ガンバ、買っちゃいました。
 
 
チェロのようなスタイルで弾く古楽器
ガット弦で、弓の反り方がヴァイオリンやチェロとなんか違う。
 
恥ずかしながら、この程度の知識しかなかった。
でもコントラバス奏者のIさんから、サックスのように色々な音程の楽器がある事や、おすすめの演奏動画などを送って頂き、自分でも色々調べてみた。それによるとガット弦だけあって音が柔らかく、ヴァイオリンやチェロよりも音量が小さめだという。
 
ならば好都合、ダメ元でいいからやってみよう!とそれだけの理由で決めた。
 
それが約1年前。
でも楽器がなかなか売っていないので、とりあえず都度楽器を借りてレッスンを受け、楽器の入手は追々考える事にした。
 
レッスンで初めて音を出してみた時。
なんて典雅な響きなんだ、、、と思った。
一瞬で16~17世紀のヨーロッパの空気感が立ち込めた気がした。
16世紀の空気感、知らないですけどね。
音源で聞くとヴァイオリンやチェロに似ていると思ったけど
生で聞くとそれらとは音色も余韻も違う。
指ではじくとギターに似ている。
それもそのはず、ヴァイオリン属とは全く異なる系統の楽器でむしろギターの方が近い楽器であるらしい。
フレットもあり、基本的に4度で一部3度の調弦だ。
 
そのため初心者には手を出しやすい楽器、とどこかに書かれていたし、弓の扱いは自分はまあまあイケるんじゃないかなどと浅はかにも考えていたのだが、、、
 
まあこれが難しい。エライ難しい。めちゃくちゃ難しい。
楽器を構えるのも一苦労、いつまで経っても開放弦すら満足に鳴らせない。
楽器が手元になく練習できないせいもあるが、数か月経ってもまともに弾けず、これじゃああんまりにも意味が無さ過ぎる!と思い何でもいいからとにかく楽器を買おうと決めた。
 
何でもいいから、というのは、ニッチな楽器の為数が少なく入門者モデルでも最低約70万円から、と非常に高価なのだ。
そして中古は滅多に出回らない。
中古が扱われる色んなプラットフォームをずっと見続けたけどなかなか出てこない。
そこで中古は諦め、新品をハンガリーか中国かアメリカの楽器屋から直接取り寄せることにし、色々問い合わせをそつつ、バカ高い輸送コストや関税とにらめっこしてなんとか予算内での入手を目指していた。
 
と、ある時ふとフルート奏者のIさんにガンバを始める時のみんなはどう入手しているのかと聞いてみた。というのもIさんは音大で古楽専攻だったのだ。
 
音大生はまあ富裕層多いので、さくっと買ってたような、、、というア、デスヨネーな回答と共に、
Yオクとか見てみたらどうでしょう?と提案してくれた。
もちろん真っ先にチェックしたけど全然出ないのよ、と言いつつ最近は見てなかったなと思いその場でサイトに行ってみたら・・・なんと今、出てるじゃないか!!!
 
 
その後武者震いと共に入札、そしてオークション終了間際でライバルとの一騎打ちの死闘激闘を乗り越え、先月末、ついに念願の楽器がこの手に・・・!
 
 
 
の、はずが。
 
 
あれ?なんか小さい?ていうか小さい。間違いなく小さい。
 
 
これ、テナーじゃんかーーーーーー!!!(爆発)
 
 
 
説明すると、ヴィオラ・ダ・ガンバには幾つかの音域があり、主なものは低音順にバス、テナー、トレブル(パルドゥシュとも言ったり)で、
ソロ曲はバスがほとんどで大抵の人はまずバスから始める。数も圧倒的に多い。テナーやトレブルは主に合奏時に使用される。単体ではあまり使われない。
私が習っているのはバス。
欲しかったのも、バス。
 
 
 
なんと、ン十万かけて間違い楽器を落札してしまった…
 
 
 
相当トホホで愕然、膝から崩れ落ちたけど、キーが違えど練習にはなる、という事で気を取り直して涙を拭き(嘘)、この楽器と向き合う事にした。
 
その後調整&修理に出して、戻ってきたのが10日前。
 
そして明日、入手記念?にちょっと音を出させてもらおうと思っている。
 
先ほど書いたように、まだ満足に弾けない。弦と弓の鳴り所がつかみきれない。
それを人前で晒すなんて言語道断だと思う。
でも、「弾けない」時は今しかないとも言える。 今後練習するともう二度と「弾けない」には戻れない。
だから今回だけ。
今後数年は門外不出にする。
 
それに奇しくも明日は入手のきっかけをくれたIさんとの共演なのだ。
これも何かのめぐり合わせ、というのは考え過ぎだろうか。